ゆうえんち

樹ってすごいよね。
なんかどっしりしていて。
わたしも最終的には意外とどっしりしているんですが。
(ほんとだって。たぶん)

清水玲子さんの漫画で、ずっと未来の他の星の話なんだけど、
女の子が住んでいる大きな木が実は大昔あった観覧車だったっていうのが印象に残っています。

女の子はずっと「ゆうえんち」に憧れていたんだけど、実はその遊園地に住んでいたんだっていう話。
女の子は食人種で、地球から訪れた人形ロボット(人にしか見えない)と関係を持ちます。
実は最初は食べるつもりだったのね。
(・・・省略・・・)
食人種の人たちは、死んだあと、誰かに自分を食べてもらうことが理想的なんだって。
それは自分は自然の一部で、死んでから誰にも食べられないことは無駄に死ぬということで彼らが一番恐れていること。
女の子は死ぬときに人形ロボットに自分を食べてほしいと言い、手を切り落とします。
(ロボットだって最後まで知らないのね)
ロボットは彼女の手を食べられませんでした。
ロボットはその後、そのことをずっと後悔して「生きて」いくっていう話。

ロボットは精巧すぎて生理的に食べられないっていうのもあったんだけど、たしか。
自分が食べても血肉にはならないし、それは自然の一部になったとはいえない。
(食べる機能はある)
けれども、それから何百年たっても、あの時の女の子の手しか食べたいとは思わない。
もう一生、たのしく食べることなんてできないよ。
っていうお話です。

女の子の「食べて」っていうのは、食人種の慣習だけじゃなくて、
わたしの人生の続きをあなたに生きてほしいっていうほうが大きかったのかもね。